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子ども、夫との関係をきちんと考える

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(2023年8月15日更新)

仕事は自分の長所や適性を教えてくれる。子と一緒に成長

結婚、出産という大きなライフイベントは、それ自体は1日で終わってしまいますが、家庭生活、育児、家事、仕事は、1日で終わるものではありません。一見、当たり前のようなことですが、私たちの生活や生き方までも大きく変化させることがあります。
フラウネッツには、自分に与えられた環境を上手に活かし、イキイキと在宅で仕事をしている女性たちがいます。今回は、東京都在住のライター、渡辺聡美さんに取材しました。

ライターになったきっかけ

「アトリエ・ポレポレ」にて創作活動を進める渡辺さんの息子さん。
定期的に展覧会なども開催されています。

私が編集プロダクションでライターのお仕事を始めたのは、自閉症の障がいを持つ息子が中1の秋のことでした。
小学校は通常学級を選択したため学校に付き添う必要がありましたが、中学は特別支援級に通うようになり、少し時間ができ本格的に働きたくなったことが社会復帰のきっかけです。


とはいえ制約も多いため、在宅ワークを大前提として探しました。そこで、現在お世話になっている編集プロダクションのライター募集を知りました。学生時代はマスコミ志望でしたので心惹かれましたが、今の自分には文章力をアピールしたくとも実績がありません。


面接には、実績をアピールすることが必要です。しかたなく息子が小6のとき当時の同級生に向けて自閉症の特徴を説明した「便り」を持参したところ、思いがけず採用していただきました。
自閉症スペクトラムの子どもは思いをうまく伝えられず、その行動の理由は周囲になかなかわかってもらえません。息子を理解してもらいたい思いから、日頃から学校との連絡帳などでも、相手に伝わる文章を心がけていたことがよかったのかもしれません。

思いの代弁者としてのライター

タイトル「オランウータンの家族」 作:渡辺 蒼

最初に携わった案件は求人情報の執筆です。さまざまな業種の企業に取材に出かけてお話をうかがい、数日で書き上げます。業界の専門用語も取り入れ、会社のカラーや求人対象によって文章のトーンも変えます。
知識や語彙の乏しさに悩まされ、うんうんうなりながら人を惹きつけそうなキャッチを考えていましたが、この経験はとても実になりました。
取材でお話に耳を傾けていると、共感して会社を応援したい思いに駆られ、言葉が自然と浮かんできました。わからない言葉はすぐ調べることや、求人対象である読み手の気持ちになりきり、対象にアピールするように文章を書き分けることも学びました。こうした姿勢はその後他ジャンルのライティングにも役に立ちました。

現在、私はフラウネッツ「Webライター講座」において添削指導を行っています。私が「文章の書き方を教える」なんておこがましく感じてしまいますが、伝えたいことが読み手に届く文章づくりのアドバイスを丁寧にしていきたいと心がけています。

母としてライターとして

タイトル「きりんのおやこ」 作:渡辺 蒼

仕事は自分の長所や適性を教えてくれます。自らの力不足を痛感した経験も次のチャンスで成長につながることがあります。「自分はまだまだ」と感じることがなぜかうれしく、家事や育児での自信喪失のほうが立て直すのが大変と思います。

家庭と両立する上で困難はたくさんありました。
息子が不登校気味になって取材に出るのが難しくなったり、原稿に集中させてくれなかったり。息子が骨折入院したときは、付き添う病室にPCを持ち込んで仕事を仕上げました。

思春期を境に息子の自己主張が強くなり、どう子離れを図るか葛藤もありました。一心同体ではない別個の人格として認めて向き合えるまでには時間がかかります。
現実には重度の障がいを持つ息子の自立は厳しいのですが、ライターの職を得たことで母としてのみ生きるのではなく、自分の人生も並行して充実させようと考えられる余裕も生まれました。

今年成人式を迎えた息子は、小さい頃から動物の絵を描くのが大好きで、彼のライフワークになっています。これからも、母と子でお互いに感性を磨いていきたいですね。

渡辺 聡美

早稲田大学教育学部教育心理学専修卒業後、大手出版取次に勤める。結婚後、退職し、息子の中学入学をきっかけにライターとして復帰。現在では、メディカル系広告の執筆をはじめ、フラウネッツの初心者からはじめる「Webライターオンライン講座」にて、講師を担当する。
協力 アトリレ・ポレポレ

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